久悦の「5 VALUES」

久悦は『守るために伝える。』をコンセプトに「①郷土産品の製品企画・流通・販売」、「②マーケティングコンサルティング」、「③地域振興企画の立案・執行・支援」を事業の柱として、駆け出しではありますがなんとか頑張っております。

人口の減少や持続可能性の危機が言われる中で、結局何のために、どうやって生きていくのか?
その中で、貨幣とは豊かな生活を享受するための価値の触媒として機能する「道具」であり、経済とはその媒介システムによって機能する現象でり、それを構成する諸活動が「経済活動」であるのだと思います。

そうであるのならば、その経済活動をすることを通じて一人一人が持続可能で、豊かに生活を享受できる(経済や社会の)環境をつくり、維持していくことが大切なのではないでしょうか?
経済「成長」は、上記した目的を満たすことによってのみ、人類にとっての意味を持つのであり、ただがむしゃらに成長や発展をしなければならないという脅迫観念はその本来の意味から脱線しているのではないかと思います。
逆に言えば、経済的発展も衰退も、それによりゆとりが生まれ、豊かさを実感でき、環境的負荷も軽減されている方向に向かうとしたら、それは人類にとってより良い意味を持つものと思われます。

しかしながら、一方でミクロの一人一人の生活に視点を落としてみると、安全なものを食べるにも、教育や医療を受けるにも、移動するにも、経費が必要となります。
経費の獲得のために、価値を人々に提供し、対価としての貨幣を得ることが必須となります。

問題は、それを人類にとって悪影響をもたらしかねない武器や、環境的負荷の高い産業、あるいは福島が立証した全てを無にする残留リスクを抱えた原子力発電に向かい、短期的利益を得て長い目で見た損失に目をつぶるか、文化やコミュニティ、農村社会などの「目に見えない」社会的資産(社会的共通資本の一つとして位置付けられる社会的関係資本)を喪失させ、短期的経済性だけを優先した大規模農業のみにシフトしていく方向をとるのか。

などなど、その「質」や経済活動の性質がもたらす「社会的波及効果」にまで視点を移して、経済主体の短期的ベネフィットも満たしながら、長期的なこれらの波及効果、資産の向上に資する方向に経済的「価値観(value)」を重視し、あるいは転換していくことこそが求められているのではないかと思います。

それも含めて、ミクロレベルでの一人一人の生活も長期的にも守られていくのではないかと。

先日は『伝統資産から学ぶ〜清酒業界から見る持続可能性』というテーマに、伝統産業の中に眠る目に見えない社会的価値の側面について国際会議の席で少しだけ発表させていただきましたが、久悦では、先に述べた事業・経済活動を行う過程で、このような観点を踏まえた経済環境(及び社会的環境や地域資源、総称して「社会的共通資本」)の整備に資することができればと考えております。
(これらの先に私の提唱する「価値経済(value economy)」の概念が存在していると考えています。しかしながら、この概念についてはこれからの研究テーマの一つとなりそうです)

とは言っても、微力ながら小さなこと、できることから一歩ずつという感じですが、そのような思いから生まれた『守るために伝える』というスローガン・コンセプトを支える柱(ピラー)として、私たちは「5 VALUES」(5つの価値観)というものを掲げていますので、せっかくなのでご紹介させていただきたいと思います。

 

■ 5 VALUES(5つの価値観)
持続可能な豊かな生活を支える基礎的な価値観として私たちが大切にしたいもの

① Respect … あらゆるものに対する尊敬や配慮
和敬清寂、自然崇拝など。人との関係、自然、生産者などあらゆる対象への理解や配慮の姿勢を基礎としている。
また、それを形にしている。

② Organic … 自然のメカニズムや自然への配慮・活用・共生
自然のものを生かすこと、自然と人との関わりの中で生成されたものを生かす。
そのメカニズムや生態系などを知り、活用し、大切にし、共生する。
郷土に育まれたものごとの中にも、そのような知恵は多く存在する。安全で自然な品質(受容され選択されたリスクと付加価値)に対し、価値あるものとして再確認する。

③ Craftsmanship … 作り手の尊重と適正な価値経済への寄与
人びとの生業やその中にある品質へのこだわり、工夫、技術、知恵、美的感性、意匠などの伝承、蓄積、再創造などに価値を認め、適正な対価を払う。
そのことを消費者、生活者にとっての価値や楽しみとして歓ぶ。
生産者、製造者と生活者のより良い結びつきが、文化化(価値経験を尊重する)された風土や価値経済の生成に寄与している。

④ Face to Face … 顔が見える関係性
製品やその価値の伝え方においてはどこで、誰が、いかなるプロセスによってつくられ、運ばれてきたか分からないものごとではなく、作り手や運び手、伝え手が胸を張り、また、顔の見えるものごとに価値を認めている。
逆に消費者からの対話やフィードバックも容易に存在する。
地域内、地域間、様々な関係性の中に対話、共創造、相互扶助などの要素が多面的に構成されている。
暖かい社会関係資本の高度に組織化された社会での応用、評価や組成の努力。

⑤ Enjoy … 柔軟に楽しむ
先に挙げたキーワードは、持続可能で、より安全や安心感を伴い、生産や消費(日常)を楽しむ上での知恵として既に存在していた要素である。
多様な材料、豊かな自然を用い柔軟に楽しんできたのが日本の伝統でもある。
楽しみ方は多様で、現代においては世界中からあらゆる対象を採り入れたり、融合させ、再生成させたりしながら、「美しくも愚かしいこと」、文化的価値(価値経験)を共につくり、楽しむ。
また、その楽しみや創造の連鎖が日常の中に根付いている。

 

以上、なんだか大それたことですが、しかしながら「これを大切にしなければ結局私たちの未来はないのではないか?つまらない残念なものになってしまうのではないか?」との思いから、その価値観を大切にし、思想的柱としていく考えです。

皆様にとっての「VALUE」とは、なんでしょうか?
機会があれば、お聞かせいただければ幸いです。

〔文責:宮田久司〕

りんご販売での悩み

久悦では、長野県のとある農家さんと取引させていただいており、一般消費者向けのりんご販売を行っております。
ちょうど12月上旬にピークを迎える非常に美味しい「ふじ」りんごです。

このりんご、化学肥料は使わない、有機栽培で農薬を制限して生育した「安全で美味しい」りんごだというように謳っていますが、確かに食べると美味しいですし、お客様に試食していただくと、中には「本物のりんごの味だ」と感動して購入して行かれる方もいらっしゃいます。

しかしながら、毎回思うのが(これは私の率直な思いなので、きっと消費者の中にもそう思っている方がいると予測されますが)、これらの文言の定義って一体なんなんだろうと思うのです。

・化学肥料とは何か?
・有機栽培とは何か?
・有機栽培だとどのような消費者としての利点があるのか?
・低農薬と言うが、実際どのような種類をどのように、どれだけ使用しており、一般的な量と比較してどうなのか?
・そもそも安全とは何か?

などなど。
(※科学肥料、有機栽培についてはこちらをご参照ください。)
(※低農薬についてはこちらをご参照ください。)

手間や費用がかかり、その分値段も高くなってしまう以上、やはりその点をしっかり見て、明確にしていかなければ、そのりんごの価値は十分に担保されないと思います。
(もちろん、感覚的な味覚やパッケージング、販売チャネルの選定などのブランディングの要素も必要でしょうが、それ以前に…と思うのです。)

情けない話ですが、1年の付き合いとなり、今年から商取引を始めたこの農家さんとは、まだこれらの情報を十分に整理するまでに至っていません。
50年以上の歳月をかけ、毎年の試行錯誤をし、土作りにこだわりを持って育ててこられた農家さん。
既に80歳を超えていますが、未だにプライドを持って育てていらっしゃいます。(幸いなことにご子息の夫婦が手伝いをしており、後継されるとは思いますが…この世代交代についても、少なからず課題があります。機会があればこのこともブログに書ければと思っていますが…)

しかし、高齢でもあり、プライドもある生産者から、明確な一つ一つの情報を聞いたり、その情報を整理していくことは、私としては、とてもハードルの高いことです。
少しずつ信頼を築きながら、少しずつ、こう言った情報を仕入れていき、よりお客様に理解していただけるような、あるいは喜んでいただけるようなものとしてまとめ上げ、合わせて円滑な商取引を進めていきたいというのが私どもの望みです。

ぜひあたたく見守っっていただきたいと思うのは、化学肥料や農薬が一般的に浸透し、大規模で効率的に商材をJAなどに流していくことが良かれと言われている時から、そこを抜け出し、良いものを、顔を見せて、消費者に届けたいという思いと決断を、この生産者が持たれ、時間をかけて現実にやってきたということです。

「もの」を扱っていて思うのは、やはり、消費者あっての商品であると同時に、生産者のこの思いと決断があって、良いものが作られ、届けられるということがあると思います。
それがやはり、「ものづくり」は「人」からということの一つなのかなと思います。

現状は、このような状況ではありますが、私たちは「伝え手」として、この生産者と消費者の幸福な結びつきを支えていけるよう、精進しく所存ですので、どうかこちらもあたたかく…いや、ご指導とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

〔文責:宮田久司〕

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4月30日シンポジウムについて

2016年4月30日にISF(国際日本酒普及連盟)が主催となり、日本酒や食文化の国際発信に関するシンポジウムを開催いたしました。

当日は本内容に関心を持つ様々な100名以上の来場者が訪れ、食文化の再発見と発信に関する知見や実践の共有を行いました。

報告書についてはこちらを。また、背景となる論文についてもこちらでこ確認することができます。

過去の投稿の消失について

過去に投稿した文章は、管理人の不手際により全て抹消されてしまいました。
また改めて投稿を重ねていく所存ですので、皆様のご理解をいただきますようお願い申しあげます。